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メラニンを産生する細胞(マウスメラノーマ細胞)にカラハリスイカ果汁を添加したところ、何も加えなかったものと比較して、メラニン産生を抑制しました。カラハリスイカ果汁には、メラニン産生に伴う、シミやくすみの発生を防ぐ作用が期待できることが示されました。
植物は通常、水が無い状態で強い太陽の光にさらされると毒性の強い活性酸素を多量に発生し、枯れてしまいます。
しかし、カラハリスイカは、アミノ酸の一種であるシトルリンを含む抗ストレス因子を蓄積することで過酷な砂漠環境ストレスから自らを守っています。
また、カラハリスイカは保存性に優れており、収穫後3年経っても水分を高度に保持し続ける驚異の果実です。
南部アフリカ・ボツワナ国土の70%を占める広大なカラハリ砂漠。
年間降水量は250〜500mm程度の乾燥地帯で、特に冬季(5〜7月)には年間降水量の10%しか降りません。
また、夏季では日中の最高気温は摂氏40度近くにもなることがあり、冬季は寒く、摂氏2度まで気温が下がることもあります。
過酷な砂漠環境の中で、今もなお独自の進化を続けるカラハリスイカは、栄養と水分補給の両面から乾燥地の生態系を支えています。
カラハリスイカが日本に導入されて以来、約20年にわたって大学や企業で様々な研究が行われてきました。
その結果、生育が非常に旺盛であること、環境ストレスに対して優れた適応能力を発揮すること、環境ストレス耐性に関わる様々な遺伝子や成分を有していることなど、植物生理の一端が明らかになっています。
現在では、関連の学術論文が14報、特許が6報報告されています。
カラハリスイカは未だ未知の領域を多く含んでいる有望な素材です。近年では、ヒトへの機能性が注目され、研究が進められています。
メラニンを産生する細胞(マウスメラノーマ細胞)にカラハリスイカ果汁を添加したところ、何も加えなかったものと比較して、メラニン産生を抑制しました。カラハリスイカ果汁には、メラニン産生に伴う、シミやくすみの発生を防ぐ作用が期待できることが示されました。
高血圧をおこしたラットに水またはカラハリスイカ果汁を摂取させ、4時間後、8時間後の血圧を測定したところ、カラハリスイカ果汁を摂取した群での血圧が低下することが明らかになりました。カラハリスイカ果汁の摂取が高血圧の症状を緩和する可能性が示されました。
ヒト皮膚線維芽細胞にカラハリスイカ果汁を添加したところ、細胞の増殖を促進しました。カラハリスイカ果汁が、線維芽細胞を活性化させ、シワの形成やハリの低下を防ぐ可能性が示唆されました。
インフルエンザウイルスを吸着させたイヌの腎細胞を、濃度の異なるカラハリスイカ果汁を添加した培地にそれぞれ入れて培養しました。その結果、カラハリスイカ果汁を加えていない培地で培養したものと比較して、カラハリスイカ果汁を添加した培地では、カラハリスイカ果汁の濃度が高くなるほどにインフルエンザウイルスの増イヌの腎細胞にインフルエンザウイルスを吸着させ、濃度の異なるカラハリスイカ搾汁液を添加した培地にそれぞれ入れて培養しました。その結果、カラハリスイカ搾汁液を加えていないものと比較して濃度依存的にインフルエンザウイルスの増殖が抑制されました。同濃度の市販の栽培種スイカでは、カラハリスイカほどのウイルス抑制効果はみられませんでした。
ヒト表皮角化細胞にカラハリスイカ果汁を添加したところ、細胞の増殖を促進しました。カラハリスイカ果汁が、ヒト表皮角化細胞を活性化させ、新陳代謝を促す可能性が示唆されました。
カラハリスイカは、酸化力の強い活性酸素ヒドロキシルラジカルを消去する能力に優れた、アミノ酸の一種であるシトルリンを蓄積することができます。シトルリン単体の場合と比較して、同濃度のシトルリンを含むカラハリスイカの果汁の方が、よりヒドロキシルラジカルを消去し、ヒドロキシルラジカルによるサリチル酸の酸化を抑制する、すなわち高い抗酸化活性があることが分かりました。これは、カラハリスイカ果汁にシトルリン以外で高い抗酸化作用を持つ物質が含まれていることを示唆しており、さらなる分析によって、その成分を同定していくことが期待されます。